クナイプの「5つの柱」のひとつである栄養。
19世紀のはじめ、セバスチャン・クナイプはこの重要な分野において、ルールや禁止事項に縛られすぎない “バランス” を何より大切にしていました。栄養の世界を新しく作り直す必要はない、と彼は考えていました。
彼が目指したのは、一人ひとりの体質に合った、シンプルで気取らず、しかも栄養価の高い食事をとること。
それがクナイプが提案した、長く続けられる健やかな食生活のあり方だったのです。
できるだけ健康的に食べるにはどうしたらいいのでしょうか?
――シンプルな問いのように聞こえますが、ネットで検索すれば約8,000万件もの答えが返ってくるテーマでもあります。
クナイプの「5つの柱」のひとつである栄養。
19世紀のはじめ、セバスチャン・クナイプはこの重要な分野において、ルールや禁止事項に縛られすぎない “バランス” を何より大切にしていました。栄養の世界を新しく作り直す必要はない、と彼は考えていました。
彼が目指したのは、一人ひとりの体質に合った、シンプルで気取らず、しかも栄養価の高い食事をとること。
それがクナイプが提案した、長く続けられる健やかな食生活のあり方だったのです。
“
人のからだという、これ以上ないほどすばらしい“住まい”は、最高の材料によって形づくられるべきなのです。 ”
セバスチャン・クナイプの時代、日々の食卓に動物性食品が並ぶことはあまり多くありませんでした。しかし経験豊富な自然療法家であった彼は、肉を食べること自体に強い否定はしていませんでした——“ほどほどに食べるのであれば” という条件つきで。
彼のモットーは、「偏りすぎず、道理にかなった食べ方をしよう」という、とてもシンプルで実践的なものでした。
たとえばクナイプは、患者たちに果物や野菜をたっぷり食べることをすすめています。さらに、栄養をしっかり摂るには生野菜がよいともアドバイスしていました。
また、クナイプは特に日々体を多く使う人たちに対し、たんぱく質の多い食事に偏りがちな食生活を補うために、パンやじゃがいもなど、栄養豊富で低たんぱくな食品を取り入れることを提案していました。
彼にとって全粒穀物は、もっとも純粋なエネルギー源。若い頃にオート麦や大麦を主食としていたことが、自身の持久力や体力の源だったと語っています。
一方で、クナイプは、脂肪のようなたんぱく質を含まない食品も代謝に必要だとしながらも、それらもあくまで適量に、と強調します。
“
もちろん、一般的には植物中心の食事のほうが、肉を使った料理よりも手頃に楽しめます。 ”
クナイプのすべての教えと同じように、栄養に関しても彼の“魔法の言葉”は 「バランス」 でした。
食事の内容を多様にすることが大切なのはもちろん、規則正しく食べることにも大きな意味があると考えていました。
朝と夜だけにたっぷり食べるのではなく、1日3〜4回に分け、少量ずつ食べることが理想的だとクナイプは説いています。また、空腹以上に食べないことも非常に重要。
彼の考えでは、「食べている自分に気づいた時点で、すでに食べすぎている」 というわけです。
飲みものに関しても、クナイプははっきりとした意見を持っていました。彼にとって、のどの渇きをしっかり癒す飲料といえば——もちろん 水。「すべての飲み物の中で最良」だと考えていたのです。
一方、コーヒー、ビール、ワイン、蒸留酒など、人の手で加工された飲料については、製造過程で“混ぜもの”が行われている場合、栄養価は低いか、ほとんど期待できないとしていました。
とはいえ、1821年生まれのクナイプは、決してストイックすぎる人物ではありません。
彼自身、こう語っています。「私は禁欲主義者ではありません。ワインやビールを一杯楽しむことは喜んで認めます。」
さらに、ハーブを漬け込んだ薬用ワインについては、適量なら健康をサポートし、心身の不調を和らげる助けにもなると考えていました。
クナイプの栄養哲学を今の暮らしに取り入れるのは、実はとても簡単です。たとえば、果物や野菜を調理するときには、ゆで過ぎや蒸し過ぎで栄養が失われないように気をつけること。
さらに、可能であれば、自分で料理をする習慣を持つことが理想的です。フィトセラピー(植物療法)の考え方に沿えば、自宅で野菜やハーブを育てるのも、彼の教えを現代的に実践するひとつです。
地元の食材はベランダや庭でもよく育ちますし、市場やスーパーで買う場合も、地元で採れた食材なら輸送による負担が少ないというメリットがあります。
特に、地元のスーパーフードは持続可能性の面でも健康面でも理想的です。たとえば、チアシードを亜麻仁(フラックスシード)にしてみたり、アサイー の代わりにブルーベリーにしてみたり。地元の食材で十分に代用でき、栄養価も高いものばかりです。
どんな食材が食卓に並ぶとしても、私たちが忘れてはいけないことはひとつ。「食べる喜びそのものが、世界を動かす力になる」、これは、セバスチャン・クナイプ自身の言葉です。